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NO.39 Compleanno

10 16, 2011

 友達のサキちゃんのおうちで遊ぶときに、かならず一回のぞく場所がある。二階のまんなかにあって、いつもドアが閉まっている部屋だ。そこは、サキちゃんのおねえさんの部屋だった。今日はトイレからサキちゃんの部屋にもどる前に、ドアを開けてのぞいてみた。
 キレイに整理された部屋の左で、ベッドに転がる制服すがたが目に入る。白いセーラー服に、紺の短いスカート。かわいいデザインで有名な私立中学校の制服だ。ショートカットのおねえさんは、うつぶせになって両足をパタパタ動かしている。読書をしているみたいだ。
「おねえさん、こんにちは」
 わたしの小声に、おねえさんが気づいてドアのほうへふりむいた。顔はサキちゃんに少しだけにているけれど、おねえさんのほうがやさしそうな表情をする。おねえさんは、わたしに向かって手をふってくれた。わたしも同じように返して、すぐ周囲を見わたした。
 サキちゃんのおねえさんは、本当は二年前になくなっている。だからわたしが今見ているのは多分、おねえさんのユウレイだ。この家にはじめて上がった日から、おねえさんのことはよく見えていた。
 サキちゃんとは今年同じのクラスになって、なかよくなった。だから、わたしはおねえさんの話をよく知らない。でも死んだ理由なら、わたしのママが知っていた。なにかの事故だったのだとか、そういうことを言っていた。サキちゃんの家には、今もおねえさんの部屋が残されている。
 おねえさんの部屋をのぞくときは、いつもきん張するのだ。わたしがふつうにこの部屋へ入れるのは、サキちゃんがマンガを取りにいっていいよ、と言ったときだけだ。この前「サキのとなりの部屋、好きだよね」と、言われてしまって、ますます入りにくくなった。
 でも、わたしはおねえさんのことが好きだ。最初はギョッとしたけれど、慣れればこわくない。
 おねえさんが今日もいることに安心してドアを閉じる。その動作のとちゅうで、めずらしくおねえさんが手招きをしていた。なんだろうと、わたしは首をかしげる。おねえさんは声がだせない。サキちゃんは自分の部屋でゲーム中だ。少しゆっくりもどっても、きっとだいじょうぶと考えたわたしは、そっと部屋の中に入った。
 おねえさんは、そばのおし入れに指をさしていた。なにかを取ってほしいのかな。わたしはこまった。おねえさんが両手をあわせてウインクする。お願いごとは断れない。わたしはおし入れを引いて、おねえさんを見た。
 口を開いているが、声はでていない。けれど、アオイハコ、と、言っているのがわかった。
「これ」
 ここから見える少し大きい青い箱を指でさせば、おねえさんがうなずく。ふたを開けると、きれいな銀のパッケージを見つけた。もう一度、わたしはおねえさんを見た。
 ワタシテ、ママニ。
 口元が、そう言っていた。これはプレゼントなのだと、わたしの直感がはたらく。おばさんのたんじょう日が近いのかもしれない。
「ミカリン、なにしてるの」
 すぐ後ろから聞こえた声に、わたしの心ぞうは飛び上がった。サキちゃんだ。ふり返れば、すでにサキちゃんが部屋の中にいる。目が強くわたしをにらんでいた。
「どうして、ここにいるの」
 声でわたしを責めているのがわかる。わたしはプレゼントを手にしたままパニックになった。つい、おねえさんを見る。同じように、こまった顔をしていた。その目線に、サキちゃんが気づいた。
「ミカリン、そこに、なんかいるの? 」
 なんの話、なんてとぼけることはできなかった。わたしは言うべきかなやんで、もう一度ベッドを見る。イワナイホウガイイ。おねえさんの口元が、そういうかたちをつくっていた。
 アナタガ、タイヘンニナル。口調は強くなる。
 おねえさんは、いつも家族とわたしのことをおもっている。けれど、本当はこのままでいいわけがない。ずっとわたしだけが見えていいはずがないのだ。
「でも、話したほうがいいよ」
 おねえさんへ向けたわたしの言葉に、サキちゃんが青ざめた。おねえさんは心配そうに妹を見る。わたしはこの先のことを覚ごした。
 そして、サキちゃんに向かって、わたしはとうとう口を開いたのだ。
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